作品が出来るまで
始まりは古典
まずは文字の雰囲気を決める。
どういうコンセプトで何を表現するかをしっかりと定める。
次に約3000年の歴史の中からベースにする雰囲気の
古典を探り臨書(模写)する。
書の古典を臨書することは、ただマネして書くのではなく線質や空気感を掴み、
どうやったら作り上げたい文字へと生かせるのかということを考える。
古典の核を抽出し作品制作へと移行する
筆を生かす
次に筆選び。
書は硬筆とは違いヤギや馬、猪、鶏など
魂ある動物の毛を使う。
たとえばヤギといってもあごの毛、腹の毛、
腕の方の毛、背中やお尻といった部位によって
毛の柔らかさや一本一本の毛の太さ、弾力は
大きく異なり、それに加えほんの数ミリの太さや
長さの違いで筆の使い方も表現も変化する。
2本の筆で箸を使うように持って書くことも。
筆の持つ特徴、個性を把握しその個性を存分に
引き立てるのが書家の務め。
筆で書の表現が決まると言っても過言ではないため
制作期間中は100ある筆の中から選び試作、
筆を代え試作、試作、また試作。
五感冴えわたる時
制作する時は決まって頭が一番冴える寝起き。
そこからひたすらに書き続けるが無理はしない。
体が疲れたと感じた時、頭が冴えなくなってきたと感じた時、筆を置き制作は中断。
そのため1日1時間の時もあれば7、8時間書き続けることもある。
夜は書かない。太陽と共に筆を休める。
何日も連続して書いていると頭が固くなってしまうため何日間かは頭を冷やす。
イメージをリセットしてまた挑む。
この繰り返し。そうして練り込んでいく。